股関節内旋位について説明する前に、まずはイメージを掴みやすくするために、股関節内旋位が起点となる代表的な不良姿勢を紹介する。(O脚・ XO脚・X脚)
股関節内旋位のよくある型
O脚

股関節:内旋・外転
膝:伸展傾向
膝下:正常〜軽度外旋
XO脚(膝下O脚)

股関節:内旋・内転
膝:屈曲傾向
膝下:正常〜軽度外旋
X脚

股関節:内旋・内転
膝:屈曲傾向
膝下:外旋強め
XO脚と性質は似ているが、
膝下の外旋が強くなり、
足元同士がくっつかなくなった状態をX脚という
⇩整理するとこんな感じ⇩

上記はあくまで「よくあるパターン」であり、
実際の現場では、組み合わせや度合いは様々。
そもそも、O脚や XO脚・X脚の定義も曖昧。
(医師や整体師、教材によっても定義や治療法が違う)
そのため、上記のような「型」だけで覚えてしまうと
・イレギュラーに対応できない
・事態の本質を見抜けない
・SNSやネット情報に振り回される
といった懸念がある。
そこで、我々トレーナーは
「一つ一つの関節がどうなっているか」
「ここがこうなってるから、連動してここもこうなってる」
など、一つ一つの状態を整理しながら、本質的に観察・対策をしていきたい。
(「巻き肩っぽい」といった曖昧な理解ではなく、「肩関節が軽度内旋し肩甲骨外転も併発している」と考えられた方が、対策しやすいのと同様)
ということで、、
ここからは、股関節内旋位と、併発しやすい異常関節位(股関節内転・外転・膝下外旋)について学んでいこう。
股関節内旋位の特徴/原因
特徴
- 膝と太ももが内側を向く/内股
- O・ XO・X脚全てのベースとなる
- トレや日常で外腿・前腿が発達しやすい
- しゃがむ動作で膝が内に入りやすい
- 代償的に膝下(脛骨)の外旋を併発しやすい
- 骨盤前傾を併発しやすい
原因
- 骨盤前傾からの連鎖
- 女の子座り
- 足を組む癖
- 筋肉のアンバランス
・TFL(大腿筋膜張筋)⇦ 圧倒的 No1
・小臀筋
・中臀筋 前部
・深層外旋六筋
・中殿筋 後部
・大殿筋
骨盤前傾に関わる筋肉を
緩める & 鍛えることで、股関節内旋位も緩和しやすい
股関節の内転/外転
多くの場合、股関節内旋に加えて、内転や外転を伴う。
それぞれを併発した際の特徴や悪影響・原因について記述する。
股関節内転を伴うパターン
- X脚/XO脚の形|The 内股
- 内側荷重(内潰れ)
- 両膝が近づく(ニーイン)
- 立位で膝が屈曲しやすい
- 内転筋が肥大しやすい
- 内腿が太く見える
- 外反膝(外側半月板に負荷)
⇨ 膝痛の原因に - 筋バランス
緊張:内転筋群
弱化:中殿筋・大殿筋
股関節外転を伴うパターン
- O脚の形
- 外側荷重(外逃げ)
- 両膝が外に開く/脚間の隙間が広い
- 外側荷重となり、外腿が発達しやすい
- 大転子が外に張り出す
- 立位で膝が過伸展しやすい
- 内反膝(内側半月板に負荷)
⇨ 膝痛の原因に - 筋バランス
緊張:なし
弱化:内転筋群
膝下(脛骨)の外旋
股関節内旋に対する代償動作として、
膝下(脛骨)の外旋を併発しているケースが多い。
(股関節内旋により膝は内を向くが、つま先を前に向けようとすることで、膝下が捻れる。)
特徴
- 特に膝軽度屈曲位では回旋が起こりやすい
- スクワット時に膝が内に入りやすい
- 股関節と膝下のねじれ方向がズレるほど、膝関節への負担は増大する
⇨ 膝痛・膝破壊 - ふくらはぎが太く・外側に張る
⇩
ふくらはぎが太く、外張りを起こす理由
- 捻れにより立体的に外側へ膨らむ
- ふくらはぎ外側の筋群が過剰に使われて肥大・緊張する
(腓骨筋群など) - 捻れにより静脈やリンパ環流が悪化し、むくむ
※「骨自体が太くなる/変形する」「脂肪が増える」訳ではない
おまけ
股関節外旋の特徴/原因
骨盤前傾姿勢/女性のお客様が多いため、
基本的には股関節「内旋」が多くなりがちだが、
そうとは決めつけず、
股関節の外旋の可能性も疑い、フラットな視線で観察しよう!
特徴
- 膝と太ももが外側を向く/がに股
- 尻強トレーニー女子・男性に多い
- トレや日常でお尻を使いやすい
原因
- 骨盤後傾からの連鎖
- 筋バランス
緊張
・深層外旋六筋
・中殿筋 後部
・大殿筋
弱化
・TFL(大腿筋膜張筋)
・小臀筋
・中臀筋 前部