膝痛

膝痛の種類
・非特異的膝痛:構造異常なし
・特異的膝痛:構造異常あり

非特異的膝痛

画像検査(X線・MRI)で明確な損傷・疾病が見つからない膝痛。
原因は “ 構造 ” ではなく、“ 動作・姿勢・筋バランス ”。

膝痛のうち 70〜90% を占める(圧倒的多数)
⇄ 特異的=10〜30%

膝痛の多くは、壊れていない。
でも痛い。動きの問題を改善すれば治る。
⇨ トレーナーの介入が鍵を握る!

【 特徴・症状 】

特定のケガをしていないのに膝が痛い
レントゲンでは「異常なし」と言われる
→ 典型的な非特異的膝痛の所見

日常動作で痛む
・階段(特に下り)
・しゃがむ
・長時間歩く
・立ち上がり
・スクワット

前面・外側・内側など痛みの場所が一定しない
→ 組織損傷がないため筋の偏りや動作のクセによって部位が変わる

ニーイン(膝が内に入る)がほぼ必ずある
→ 下肢の “ ねじれ ” が最大の特徴

アップすると痛みが軽減することが多い
血流や可動性が低いと痛む
⇨ 動かしたり、温めることで軽減する
(根本治療にはなってない)

【 原因 】

ニーイン(膝が内に入る・捻れる)
・筋バランスの崩れ/不良姿勢
・股関節内旋/O・XO脚など
・反り腰/骨盤前傾
・前腿優位/ハム尻弱い

使い方のクセ/動作
・しゃがみ方
・歩行の癖
・階段昇降
・スクワットのフォーム
・股関節の使い方
膝が内に入る動作は要注意!

使い過ぎ
正しい使い方でも、過負荷は関節を痛める

加齢や体重増加も悪化要因に

※加齢(経年劣化)について

経年劣化が膝痛の原因になることはあるが、それだけで痛みが出ることは少ない。
多くは 「加齢による組織変化 × 動作・筋バランスの崩れ」 の組み合わせ。

加齢で誰にでも起こる変化
・軟骨の弾力性が低下(すり減りやすくなる)
・半月板の水分量が減り、衝撃吸収力が低下
・滑膜や関節包が硬くなる
・筋力低下・血流低下による関節栄養の悪化
これらは痛みの直接原因ではない

加齢+機能的要素(動作・筋力・姿勢)が重なると痛みになる。

加齢は変えられない。
でも 筋力・姿勢・動き方は変えられる


特異的膝痛

= 骨・軟骨・靭帯など“組織自体”に障害がある膝痛
整形外科で診断がつく “怪我・疾患” による膝痛

医療管理が優先(手術・保存療法など)

我々は主に以下で関与
・再発予防
・周囲筋の機能回復
・動作改善(ニーイン・荷重ライン修正)

代表的な疾患


【 特徴・症状 】
膝の中にあるクッション(半月板)が傷ついた状態

・膝の引っかかり感/ロッキング(動かなくなる)
・深く曲げると痛い(しゃがみ動作でズキッ)
・階段の上り下り・方向転換で痛み
・腫れ・可動域制限が出ることも

【 原因 】
・急なひねり動作
・ジャンプ着地
・スポーツ外傷
・加齢やすり減り(退行変性)

【 治療・医療対応 】
軽度:保存療法(安静・炎症抑制・リハビリ)
重度:手術(縫合 or 切除)
⇨その後、筋力・動作の再教育が重要

【 トレーナー介入 】
※医師の許可後に実施
・膝の安定性を高める
・尻強化/前腿緩める
・膝の負担を減らす
・体重減少
・ニーインの防止
・正しい動作習得

【 特徴・症状 】
膝の軟骨がすり減り、関節が変形する疾患
中高年・特に女性に多い

・歩き始めや階段で膝が痛む(荷重時痛)
・動かすとギシギシ、コリコリ音(軋轢音)
・朝のこわばり
・水がたまる
・進行するとO脚が強くなる

【 原因 】
・経年摩耗(長年の負担)
・O脚
・肥満/高体重
・過負荷
・膝主導の動作習慣

【 トレーナー介入 】
・膝負担の軽減(体重管理・過度な屈曲を避ける)
・尻強化/前腿緩める
・ニーインの防止
・正しい動作習得

【 特徴・症状 】
膝のお皿(膝蓋骨)が外側にズレる/外れやすい状態
特に若年女性・O脚・X脚に多い

・膝の外側がズキッと痛む
・お皿が外れそうな感覚(不安定感)
・腫れる
・力が入りにくい
・何度も“外れる感じ”を繰り返す(再脱臼)


【 原因 】

膝蓋骨が外側に引っ張られる筋バランス
→ 外側広筋・TFL・腸脛靭帯の緊張
→ 内側広筋の弱化

※TFL(大腿筋膜張筋)・腸脛靭帯は膝蓋骨に付着してない?
⇨ 直接の付着はないが、腸脛靭帯は外側広筋と筋膜連結しているため、TFLや腸脛靭帯の緊張は、結果的に膝蓋骨を外側に引っ張る

TFL → 腸脛靭帯 → 外側広筋と筋膜連結
外側広筋は膝蓋骨の外側縁に付着

参考画像

膝蓋骨を安定させる内側支帯の緩み

スポーツ時のひねり/ジャンプ着地など

骨の形(膝蓋大腿溝が浅い)

O脚・X脚・扁平足によるアライメント不良


【 トレーナー介入 】
※ 医師の許可後に実施

膝蓋骨の安定化
・内側広筋を鍛える
・外側の張りを緩める(TFL・外側広筋・腸脛靭帯のストレッチ)

ニーインの防止
正しい動作習得


【 特徴 】
膝には4つの主要な靭帯があり、
それぞれが膝の安定性を保つ「ストッパー」の役割をしている。
スポーツや転倒などの外力でこれらが伸びたり切れたりする状態を「靭帯損傷」という。


【 主要な靭帯 】

靭帯名位置・役割損傷の特徴
前十字靭帯膝の中央・前方移動を防ぐジャンプ着地や方向転換で損傷。膝が「ガクッ」と崩れる。
後十字靭帯膝の後方移動を防ぐ膝を強打したときに損傷(交通事故など)。
内側側副靭帯膝の内側。外側からの力に抵抗接触プレーで多い。内側が痛む。
外側側副靭帯膝の外側。内側からの力に抵抗比較的まれ。外側の安定性が低下。


【 症状 】

・膝のグラつき/不安定感
・腫れ(血が溜まる)
・熱感/痛み
・可動域の制限(伸ばせない・曲げられない)
・スポーツ動作が怖い/力が入らない


【 治療 】

軽度(部分損傷)
・保存療法(安静・サポーター・リハビリ)
・筋力強化と動作再教育が中心

重度(完全断裂)
・手術(再建術)+リハビリで回復を目指す


【 トレーナー介入 】
医師の治療後
・膝の安定性向上
・ニーイン防止
・正しい動作習得
・再発予防



⑤ 離断性骨軟骨炎(OCD)
成長期のスポーツ負荷
運動時の痛み・ひっかかり感

⑥ 疲労骨折(脛骨・大腿骨)
長期のランニング・ジャンプ競技
局所の強い痛み・圧痛・運動時悪化

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