肩の痛み

肩の痛みを伴う代表的な障害

用語整理
・繊維化〜炎症中・などに組織が質的硬化すること(弾力低下)
・癒着〜炎症
中・後などに組織同士がくっつくこと(滑走不全)
・拘縮〜繊維化や癒着などの結果として、関節が動かなくなる状態
※拘縮が起こる原因は他にも!
・筋肉の長期間不使用で筋肉が短縮
(例:ギプス固定後・寝たきり)
・皮膚や皮下組織の熱傷や外傷後の瘢痕
(皮膚が硬く縮み、引っ張られ動きにくくなるイメージ)

【 参考画像 】

【 概要 】
原因不明の肩関節周囲組織の炎症と
それに伴う肩関節周囲の痛みや可動域制限
※明らかな外傷や構造損傷はない

【 好発・リスク因子 】
・40代〜60代/女性に多い
・加齢による変化
・肩関節の長期不動(運動不足・怪我・術後安静)
・逆に酷使しすぎ
・糖尿病/甲状腺疾患

【 病態 】
肩関節周囲組織(関節包・靱帯・腱板・滑液包など)が炎症(原因不明)

痛み/繊維化/癒着

拘縮・可動域制限

回復 or 症状不改善

【 症状/対応 】

  • 炎症期 〜 安静第一
    夜間痛・安静時痛が強く、睡眠障害を伴う
    ( 寝返りも打てない・痛い)
    特定の動作での激痛
    肩関節の可動域が徐々に制限され始める
  • 拘縮期 〜 運動療法
    痛みは軽減するが、可動域制限が顕著
    特に外転・外旋が制限されやすい
    (洗濯物を干す、髪を結ぶ、背中に手を回すなど)
  • 回復期 〜 運動療法
    徐々に可動域や痛みが回復
    完全には戻らないケースもある

【 参考画像 】


【 概要 】
肩峰と上腕骨頭の間(肩峰下隙)で
腱板(棘上筋)や滑液包が挟まれて炎症・痛みが生じる状態

【 原因 】

  • 姿勢不良(巻き肩・猫背)や肩甲骨周囲筋の緊張により、肩甲骨の可動制限
    ⇨ 腕を上げる際に、肩甲骨が連動せず、挟まる
  • 肩甲骨の可動制限がなくとも、
    反復動作や高速動作(野球・水泳・ベンチプレスなど)により挟み込みや損傷が起こることも

【 症状 】
・上肢挙上時痛(特に60〜120°で痛む)
・夜間痛

【 特徴 】
・拘縮は少ない

【 治療 】
腱板と肩峰下組織の摩擦・圧迫を減らし
炎症を鎮める+動作・姿勢を正常化する

保存療法(第一選択)
※ほとんどの症例は保存的治療で改善
①炎症コントロール
・安静/過負荷動作の中止(特に挙上・外転動作)
・アイシング/消炎鎮痛薬
・必要に応じてステロイド局所注射
② 姿勢・動作改善
・猫背・巻き肩の是正
・肩甲骨上腕リズムの正常化

【 参考画像 】


【 概要 】
肩の安定筋である腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の腱が部分的/完全に切れた状態

【 原因 】
・加齢変性
・外傷(転倒、重い物を持ち上げるなど)

【 病態 】
腱板が摩耗・損傷
⇨ 完全断裂では腱が切れて機能を失う

【 症状 】
・挙上困難(特に棘上筋断裂)
・筋力低下
・夜間痛

【 特徴 】
損傷の有無を画像(MRI・エコー)で確認可能

【 治療・方針 】
・保存療法
・「完全に治す」ではなく「痛みのない可動域と日常生活動作の確保」が目的
 〜 切れたもんは仕方ないから、痛みを軽減しながら残ってる筋肉でなんとかしよう
(保存療法のみで完治することもある)

① 疼痛コントロール
・炎症軽減(注射・温熱・超音波など)
・安静
・姿勢改善
② 残存筋機能の強化
・棘下筋・小円筋・三角筋などの代償的活用
・可動域訓練(痛みの範囲内)

※若年者(まだまだこれから!)や
機能障害が強い場合は手術を実施
・腱板修復術(縫合術)
・鏡視下手術

相互の関連

  • インピンジメントが長期化 ⇨ 腱板の摩耗が進行し 腱板断裂 へつながることも
  • 五十肩(周囲炎)インピンジメント は症状(夜間痛・可動域制限)が似ており、初期は鑑別が難しい
  • いずれも 不良姿勢・肩甲骨の動き不良 が共通のリスク要因

まとめ

いづれの肩痛障害も
不良姿勢・肩甲骨の動作不良・肩甲骨と上腕骨の協調性低下 がリスク要因となる。

我々トレーナーとしては

  • 姿勢改善や可動性向上、日常動作の指導
  • トレ前のウォームアップやフォーム修正
  • あまりに過度な負荷をかけない
  • 運動不足の改善/全身の筋力や柔軟性の向上

などによりリスク低減や発症防止に努めたい。

既に発症しているお客様に対しては、
各障害に対して適切なアプローチをしていきたい。

迷ったら
・痛みのない範囲で ” 正しく ” 動かす
(安静し過ぎも悪/動かすことが重要)
・痛い時は休む・安静を優先
・姿勢改善や可動性向上を目指す
・病院受診も考慮

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